40代で家を建てる際、私たちが目指したのは「シンプルで飽きがこない、メンテナンスがしやすい家」でした。30代のDIY経験から、複雑な構造は後々の手入れが大変になると痛感していたため、徹底的に「引き算」を意識しました。
設計仕様書
埼玉県民共済住宅での家づくりは、「基礎工事」「木材仕様」「共通仕様」「電気設備工事」といった丁寧な設計仕様書の中から、自分たちに合うものを選択していくシステムです。標準仕様のクオリティが高いため、予算と相談しながらこだわりたい部分にオプションを絞って追加できるのが魅力でした。
10年経っても大満足な電気設備の成功例
まず、ブログなどでも推奨されていた「コンセントの個数」は、すべての部屋やクローゼットの中にもオプション料金を払って大幅に増やしました。「ここにルンバを置くかも」「ここでスマホを充電するかも」と、暮らしの動線を先回りして配置したため、我が家にはタコ足配線や、床を這う見苦しい延長コードが一切ありません。掃除機がけが劇的にスムーズになり、10年経った今でも大満足の決断でした。
また、10年以上前の当時はまだ珍しかった「電気自動車(EV)用の屋外コンセント」もあらかじめ設置しておきました。現在はまだガソリン車ですが、近年のEVシフトを見ていると、この選択は間違っていなかったと確信しています。後から外壁を割って工事をするとなると高額な費用がかかるため、新築時のわずかな投資で将来の安心を買えたのは大きなメリットでした。

完全に眠ってしまった屋外設備と、仕様書の落とし穴
一方で、夢を膨らませすぎて失敗したのが、玄関ポーチの土の中に設置した「イルミネーション用コンセント」です。マイホームを持ったら綺麗にライトアップしたいと意気込んで設置したものの、いざ暮らしが始まってみると、日々の忙しさや50代の体力面もあり、寒い外でセッティングする心の余裕がありませんでした。結果、10年間一度も使わずに眠り続けています。
さらに、仕様書の打ち合わせにまつわる苦い事件もあります。それが「クローゼットの中の壁紙」です。 家全体はシンプルだけど、収納の中はカラフルでポップな壁紙にしたいと思い、間取りを決める段階で設計担当者に伝えたところ、「壁紙は工事担当者の管轄になります」と言われました。 しかし、着工後に現場の工事担当者に伝えると、「それは設計の段階で指定してもらわないと、もう標準のボードで手配が終わっているので間に合わない」と言われてしまったのです。
組織が大きい共済住宅だからこそ、部署間の引き継ぎの隙間に要望が落ちてしまい、結局クローゼット内はすべて標準のまま完成しました。10年以上経った今でも開けるたびに少し悔やまれます。これから建てる方は、担当の管轄外と言われても、必ず打合せ記録や図面に文字で残してもらうように強く要求することをおすすめします。
設計のこだわり
無垢材の床とドア、白木目調の壁紙で作る潔い空間
インテリアのベースは、床と室内ドアの素材をすべて「無垢材」で統一したことです。埼玉県民共済住宅では、本物の木の質感を味わえる無垢材が良心的な価格で選べました。 10年以上経った今、床には小さな傷が刻まれていますが、合板のようにペリペリ剥がれることなく、使い込むほどに味わい深い色へと変化しています。素足で歩いたときのサラッとした温かみは、50代の今の暮らしにも贅沢な癒しです。
壁紙もトイレ以外のすべての空間を、同じ「白木目調」の一種類だけで統一しました。家全体を同じ壁紙でつなげることで視覚的なノイズが消え、家全体が広く、明るく感じられます。家具の配置換えをするときも、背景がシンプルなのでどんなレイアウトにも馴染んでくれます。

トイレだけで爆発させた遊び心
家全体をシンプルにした分、唯一遊び心を爆発させたのが「トイレ」です。 お客様も使う1階のトイレは、トーンを落としたモダンで落ち着いた「シックな雰囲気」に。一方で、プライベートな2階のトイレは、私の好みを100%反映し、大好きなイギリスの陶磁器ブランド「ウェッジウッド」のワイルドストロベリーのような、上品なイチゴ柄の壁紙にしました。狭い個室だからこそ冒険が引き立ち、暮らしの程よいアクセントになっています。

日常の快適性を高めたスイッチ・エアコン・シャッター
日々の暮らしをラクにするための設計も、10年経ってありがたみを実感しています。 まず、照明のスイッチの高さは一般的な1.2mではなく「0.9m(90cm)」に統一しました。大人が立ったときに、ちょうどダラリと下げた手の位置にあります。腕を肩まで上げなくても通りすがりになんとなく指先で押せるため、身体に余計な負担をかけたくない50代の今、この心地よさが身に沁みます。
また、個室のエアコンは、ベッドに直接風がいかない位置を計算して配置してもらいました。肌や喉が乾燥しやすくなった今、冷気や暖気が直接当たらないことは本当に快適で、朝までぐっすり眠れます。
そして、一番の神設備が、1階と2階の大きな窓に付けた「タイマー付き電動シャッター」です。朝夕、設定した時間になると自動で開閉するため、重いシャッターを毎日の手で開け閉めする手間が一切ありません。夏の虫対策や冬の寒さ対策にもなり、費用をかけてでも絶対に採用すべきオプションだと断言できます。
夫婦の散歩から生まれた外壁タイルと、緑の瓦への未練
外観の大きなこだわりが「外壁タイル」の採用です。40代で家を建てる際、50代、60代になった未来のメンテナンスの手間やコストを極力減らしたいと考え、耐久性の高いタイルを選びました。初期費用はかかりましたが、10年経った今でも色あせず重厚感を保っており、本当に価値のある選択だったと感じています。
実は、この外壁タイルを選ぶために、当時は夫婦でよく近所を散歩していました。「あの家はサイディングだね」「あの外壁タイルは素敵!」など、たくさんのリアルな家を見て回りながら、自分たちの理想の外壁を絞り込んでいった気がします。性能などのメリットだけでなく、毎日見るからこそ「自分たちの好み」に真っ直ぐ向き合えた、楽しい時間でした。
一方で、外観の設計で今でも少し未練があるのが、「緑の瓦と緑の玄関ドア」の組み合わせです。南欧風のナチュラルな雰囲気に憧れていたのですが、オプション費用の高さを理由に検討の末に諦め、標準仕様の中から無難な茶色系にしてしまいました。
現在の落ち着いた雰囲気も気に入ってはいますが、毎日目にする場所だからこそ、多少の追加費用を払ってでも夢を叶えたほうが、その後の10年、20年の満足度が違ったかもしれないな、というのが正直な感想です。予算の管理は大切ですが、どこまで妥協するかの見極めって本当に難しいですよね。
間取り
1階の回遊動線と2階の引き戸、無駄のない間取り
広い廊下など無駄なスペースをなくすため、我が家では動線にこだわった間取りを採用しました。1階は行き止まりがなくぐるりと回れる「回遊できる間取り」にし、2階は部屋と部屋の壁が「引き戸」になる間取りにしています。 この工夫のおかげで、1つ1つのスペースが確保でき、風通りも抜群に良くなりました。
また、構造面でも、30代の頃に住んでいた夫の古家が「1階の部屋の上にバルコニーがある構造」で、築年数が経つとそこから深刻な雨漏りが発生した教訓を活かしました。今回は1階の上のバルコニーをやめ、2階の部屋から張り出す形のシンプルな「普通のベランダ」にしました。おかげで10年間、大雨でも雨漏りの心配なく健やかに過ごせています。
窓の配置と、階数に応じた使い分け
窓の位置は、お隣の窓と正面から向き合わないように配置を考慮しました。設置数も標準仕様の範囲内にしっかり抑えています。種類は、1階は防犯性を考えて「上下窓+格子付き」にしましたが、これは正直、格子がある分だけ少し掃除がしにくいのが難点です。2階は布団干しなどの動線を考慮して「引違窓+シャッター」と、階数に応じて明確に使い分けました。
また、2階への階段は無駄のない直線階段にしました。家具など搬入の邪魔になると思い、上り始めの低い場所の手すりを壁側だけに設置したのですが、これは大正解で本当に良かったです。
間取りに関する「通し柱」の後悔ポイント
ただ、間取りに関して今でも「少し残念だったな」と思う大きな後悔ポイントがあります。それが「通し柱(1階の土台から2階の軒まで通る継ぎ目のない柱)」へのこだわりです。
当時は「間取りはきれいな正方形にし、通し柱をしっかり配置するのが構造的にベストだ」と思い込んで設計しました。しかし、現代の木造住宅の工法においては、必ずしも通し柱に縛られる必要はなかったと後から知ったのです。 我が家は1階と2階の外枠がすべてきれいに揃っている、ほぼ正方形の総二階仕様。それなのに、実際には通し柱は使われておらず、構造計算上の「通し柱相当」という扱いになっていました。「それならもっと自由な間取りにできたのでは?」と後から気づいたのです。これに縛られなければ、もっと違った間取りに挑戦できたかもしれないと思うと、少し残念な後悔ポイントです。
50代を迎えた今、いくつかの後悔ポイントや小さな傷跡はありますが、それも含めて自分たちで選択を重ねてきたこの家が愛おしくてたまりません。家づくりは完璧にするのは難しいからこそ、リアルな体験談を参考にしながら、自分たちにとっての「ちょうどいい満足」を見つけるヒントになれば幸いです。
-----
本記事の内容は10年以上前の体験に基づいています。現在の正確な情報や最新の手続きの流れは、公式サイト等でご確認ください。
→ 埼玉県民共済住宅の公式サイトはこちら
わが家の家づくりメモ一覧:
建替えの計画から引き渡し、築10年後の現在までの全体的な流れや、各プロセスの記録は「埼玉県民共済住宅|DIYから20年の体験記録」からご覧いただけます。

