無垢床とキッチンの仕様選び|県民共済と地元ショールームの記録

 

当時は夢中で駆け回った日々でしたが、あのとき自分の足で歩き、目で見て触って選んだ決断の一つひとつが、現在の快適な我が家を作ってくれています。これから家を建てる方へ、リアルな体験談として少しでも参考になれば幸いです。

 


県民共済のショールームで基本仕様を決める第一歩

注文住宅を建てるとなると、決めなければいけない建材や設備の多さに最初は誰しも圧倒されるものです。私たち夫婦が最初に向かったのは、さいたま新都心にある埼玉県民共済住宅のショールームでした。ここはまさに、県民共済住宅で家を建てる者にとっての「聖地」であり、家づくりの標準仕様やオプションがぎゅっと凝縮された、全ての基本となる場所です。

新都心のショールームに一歩足を踏み入れると、一般的なハウスメーカーの華美な総合住宅展示場のような演出はないものの、実際に選べる建材が整然と並んでおり、非常に実用的な空間が広がっていました。私たちはここで、家づくりのベースとなる基本的なアイテムを一通り確認し、決定していきました。具体的には、屋根を支える「瓦」、家の顔となる「玄関ドア」、外観の印象を左右する「バルコニー」、建物の大部分を覆う「外壁」、そして日々の暮らしに欠かせない「水栓」や「給湯器」などです。

大きなサンプルを目の前にして、夫婦二人で「この色が落ち着いていていいね」「我が家の形にはこれが合いそうだね」と話し合いながら選ぶ作業は、少しずつ理想の家が形になっていくようで胸が躍りました。県民共済住宅のショールームの良いところは、予算感を掴みながら、現実的かつ高品質な選択ができる点にあります。ここで家全体の「骨組み」となるビジュアルや設備を網羅できたことで、その後の個別ショールーム巡りへの具体的なイメージを膨らませることができました。

まずはここで全体のバランスを俯瞰し、ベースを固めることが、ブレない家づくりにおいてとても重要なステップだったと感じています。ここでの決定を基準点にしたからこそ、その後に続く各メーカーのショールームで「標準との違い」を冷静に比較することができたからです。

 


各ショールームへ!こだわりを形にする旅

新都心のショールームで基本の選択肢を理解した後は、より深いこだわりを反映させるため、そして自分たちの好みにぴったり合う一品を見つけるために、各住宅設備メーカーの個別ショールームを訪ねる旅が始まりました。まず私たちが足を運んだのは、リクシル、ウッドワンなど、近場にある名だたるメーカーのショールームです。それぞれに特徴があり、見学することで多くの気づきがありました。

キッチンと浴室:リクシルで見つけた標準仕様の驚くべきクオリティ

毎日の生活で最も使用頻度が高いキッチンと、一日の疲れを癒やすお風呂は、リクシルのショールームでじっくりと検討しました。実は、個別ショールームに行く前は「標準仕様のままだと、少し物足りないのかな?」「あれこれオプションを追加しないと満足できないのでは?」という漠然とした不安を抱いていました。しかし、実際にショールームへ行って現物をこの目で見て、アドバイザーの方の説明を聞いたとき、その不安は良い意味で完全に裏切られました。

県民共済住宅で用意されているリクシルの標準タイプは、一般の市場で見れば非常に高水準なグレードだったのです。キッチンのワークトップの質感、収納の引き出しの滑らかさや容量、お風呂の浴槽の断熱性や掃除のしやすさなど、どれをとっても「これが標準で入るの?」と驚くほど充実した内容でした。ショールームで実際に扉を開け閉めしたり、浴槽の中に腰掛けてみたりすることで、カタログの数字だけでは分からない使い心地の良さを実感できました。結果として、過度なオプションを追加することなく、自信を持って標準仕様を選ぶことができ、予算のメリハリをつける上でも大変有意義な訪問となりました。

外壁選びの最適解:長い目で見据えた「タイル」という選択

家づくりの中で、後からのリフォームが最も大変な部分の一つが外壁です。ショールームにはサイディングをはじめ、さまざまな色や素材の選択肢がずらりと並んでおり、どれも魅力的で本当に迷いました。しかし、私たち夫婦が最終的に選んだのは「タイル」でした。

タイルを選んだ決定打は、何よりも「メンテナンスなど、長い目で見た時のこと」を最優先に考えたからです。家を建てるにあたり、これから40代、50代、そして老後を迎えるライフステージにおいて、10年や15年ごとに何百万円もかかる外壁の塗り替え工事の負担をできるだけ減らしたいと考えていました。タイルは初期費用こそ他の素材に比べて高くなる傾向がありますが、耐久性が非常に高く、紫外線や雨風による劣化がほとんどありません。

築10年が経った今の50代の視点から振り返っても、この時の選択は大正解でした。現在の我が家の外壁は、特に大きな補修をすることも水垢もなく、新築時と変わらない美しい風格を保っています。当時の自分たちの先を見据えた決断に、今とても満足しています。

ウッドワンの無垢床:素足のぬくもりと「ワックスあり」の現実的な選択

床材選びで訪れたウッドワンのショールームでは、忘れられない感動がありました。念願だった「無垢床」のブースで、靴下を脱いで実際に素足で歩かせてもらったときのことです。一般的な合板フローリングとは全く違う、足裏を優しく包み込むような柔らかさ、そしてじんわりと伝わってくる自然なぬくもりに、夫婦揃って言葉を失うほど感動しました。「絶対にこの無垢床の上で暮らしたい!」とその瞬間に心に決めました。

ただ、ここで一つ冷静に考えなければならなかったのが、その後の「掃除や維持管理」のことです。完全な無塗装やオイル仕上げの無垢床は風合いが素晴らしい反面、水に弱く、定期的なメンテナンスが必要です。日々の暮らしの中で、神経質に床の手入れを続けられるだろうか……と自問自答しました。

そこで私たちは、無垢のぬくもりを残しつつも、日々の生活の利便性を考えて「ワックスあり(コーティングあり)」の仕様を選択しました。この選択も結果として大成功でした。無垢ならではの踏み心地の良さを毎日しっかりと味わいながら、普段のお手入れは掃除機と固く絞った雑巾がけだけで済んでいます。最近は、普段通りに床を拭き掃除するだけで、同時に薄いワックス膜を作ってくれる「ワックスインクリーナー(洗浄効果のあるワックス液)」などもあります。こうしたお役立ちアイテムを日常のお手入れに取り入れると、大掛かりな「塗り替え作業」の周期をさらに延ばすことができて、劇的にラクになります。理想と現実のバランスをショールームで体感しながら擦り合わせられたのは、本当に良かったと感じています。

 


今は、WEBショールームの時代!?現代の家づくりと10年前のリアル

私たちが家づくりをした10年前は、スマートフォンは普及していたものの、今のようにSNSで膨大な動画や写真が手軽に見られる時代ではありませんでした。だからこそ、週末ごとに夫婦でスケジュールを合わせ、電車や車で、現地で本物の素材を見て触るというアナログな「ショールーム巡り」が家づくりの王道であり、それ以外の方法はほとんどありませんでした。移動の電車の中でパンフレットを読み込み、ショールームではメモを必死に取り、帰りのカフェで夫婦で反省会をする……そんな泥臭くも充実した日々が、今となっては愛おしい思い出です。

翻って現代の家づくりを調べてみると、時代の変化に本当に驚かされます。今は多くの大手メーカーが「WEBショールーム」や「バーチャルショールーム」という素晴らしいサービスを提供しています。自宅にいながらにして、パソコンやスマートフォンの画面上で3D空間を歩き回り、キッチンのカラーシミュレーションを瞬時に切り替えたり、高精細な動画で設備の機能解説を見たりすることができます。

わざわざ遠出をして大混雑のショールームを予約する手間もなく、平日の夜のちょっとした隙間時間でも、夫婦で画面を共有しながら「これいいね」と検討を進められるのは、本当に羨ましい限りです。仕事や家事で忙しい現代の夫婦にとって、WEBショールームは非常に効率的で強力なツールだと思います。

しかし、築10年が経ち、50代になった私の個人的な経験から言わせていただくと、「WEBショールームで効率よく下調べをした上で、最終決定の前にはやっぱり、実物のショールームに足を運んでほしい」というのが本音です。なぜなら、どれだけ画面が綺麗になっても、デジタルでは絶対に再現できない「五感のパラメーター」があるからです。

例えば、ウッドワンのブースで感じた無垢床の「足裏を包み込むようなじんわりとしたぬくもり」や、天然木ならではのほのかな「香り」。リクシルのキッチンで実際に扉を引いた時の「手応えの滑らかさ」や、引き出しの奥まで手が届くかどうかの「身体的な距離感」。タイルの外壁に太陽光が当たった時の「立体的な陰影の深み」や、ざらっとした「本物の質感」。これらは、画面を眺めているだけでは決して掴むことができません。

家は、私たちがこれから何十年もの間、毎日触れ、五感で感じながら生きていく空間です。だからこそ、デジタル技術を賢く使って時間と体力を節約しつつも、ここぞという重要な建材や毎日触れる設備に関しては、ぜひ実際のショールームで「本物」を体験して、納得のいく選択をしていただきたいなと思います。その五感を使ったリアルな体験の記憶こそが、家が完成した後の愛着へと繋がり、10年経っても色褪せない我が家への満足感のベースになってくれるはずです。

 

 

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本記事の内容は10年以上前の体験に基づいています。現在の正確な情報や最新の手続きの流れは、公式サイト等でご確認ください。
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わが家の家づくりメモ一覧:
建替えの計画から引き渡し、築10年後の現在までの全体的な流れや、各プロセスの記録は「埼玉県民共済住宅|DIYから20年の体験記録」からご覧いただけます。