建て替えは新築以上に工事が複雑です。特に古い家の解体と地盤改良は、予期せぬ費用や時間が必要になることも。当時の記録をもとに、行政手続きから解体工事、そして地盤補強の重要性まで、現場のリアルな流れを解説します。
建て替えの第一歩:着工前に駆け回った行政手続きと準備
注文住宅の建て替え計画が具体的に進み始めると、それまでの楽しい間取り選びや設備決めの時間から一転して、一気に現実的な作業が押し寄せてきました。それが、着工前に避けては通れない「行政手続き」と、仮住まいへの引っ越しをはじめとする事前準備です。
当時の手帳を見返してみても、この時期のメモはとにかく慌ただしさに満ちています。新しく家を建てるための「建築確認申請」などの専門的な手続きは、基本的にハウスメーカーである埼玉県民共済住宅の担当者さんが主導して進めてくれましたが、施主である私たち自身が動かなければならない行政手続きやライフラインの手配もたくさんありました。
正直な感想を当時のメモから抜き出すと、一言「とにかく面倒だった……」に尽きます。契約、申請、そして解体後の「古い家がなくなりました」という滅失登記(めっしつとうき)の準備などに、添付するための書類(「印鑑登録証明書」や「住民票」など)を役所へ行って揃えたり、実印や署名が必要な書類を何度も確認したり。慣れない手続きの連続に、夫婦二人で「家を建てるって、建つ前からこんなにエネルギーを使うんだね」としみじみ話していたのを覚えています。
こうしてライフラインの調整を終え、行政手続きの承認を待ちながら着工日を迎えるまでに、トータルで約1ヶ月半から2ヶ月ほどの日数がかかりました。何も形としては進んでいないように見えるこの準備期間こそが、確実な家づくりを進めるための、文字通り「強固な土台」作りの第1歩だったのだと、今になって強く感じます。
30代を過ごした思い出の古家が更地に。解体工事の流れとリアルな期間
仮住まいへの引っ越しが無事に完了すると、いよいよ長年親しんできた古い家を取り壊す「解体工事」のフェーズへと移ります。
我が家の場合、解体業者さんは埼玉県民共済住宅さんから紹介してもらい、じっくり見積もりを確認した上で契約を結びました。提携されている業者さんということもあり、ハウスメーカーとの連携がスムーズで、工事のスケジュール調整や引き継ぎがとてもスムーズだったのは安心できるポイントでした。
近隣の皆様へ「これから解体工事が始まり、ご迷惑をおかけします」という丁寧なご挨拶まわりを業者さんと一緒に済ませ、ついに足場が組まれて解体工事がスタートしました。重機が入り、30代の思い出が詰まった我が家が少しずつ小さくなっていく様子を見守るのは、どこか寂しくもあり、同時に新生活への期待が膨らむ不思議な時間でした。
解体工事そのものは、木造の建物部分だけであれば約1週間から10日前後と、想像していたよりもずっとスピーディーに進んでいきました。壁が取り払われ、柱が一本ずつ搬出され、あっという間に見慣れた空間の骨組みが消えていきます。
工事そのものはスピーディーでしたが、我が家の解体工事において、建物本体よりも日数と、何より「処分費用」の面で大きなウエイトを占めたのが、外構(お庭や周りの環境)の撤去作業でした。
まず、古い家の駐車場スペースは地面が一面「土間コンクリート」で覆われていたため、この厚いコンクリートを重機でバキバキと砕いてすべて廃材として運び出すだけで、かなりの処分費がかさむことになりました。
さらに想定外だったのが、敷地の全面(4面)にめぐらされていた「コンクリートブロック塀」の処理です。全面を解体して処分するのも高額でしたが、今回は「高さを低くして、下の2段だけをそのまま残して新たにフェンスを付けて継続使用する」という方法を選びました。
上部の不要な部分をきれいに切断してもらう「カット代」の単価が高く、そこに残りの処分費も合わさった結果、手痛い出費になってしまったのです。この解体工事での「コンクリートの処分代とカット代が想像以上に高かった」というリアルな大誤算は、その後の新居の外構計画において、非常に大きな教訓となりました。
予算の厳しさを身をもって知った私たちは、新居の駐車場をどうするか話し合った際、古い家のように「全面を土間コンクリートにする」のを真っ先にやめました。施工費用を抑え、将来の解体リスクも減らすために、「車のタイヤが乗る最低限のスペース(轍の部分)だけを土間コンクリートにし、それ以外の隙間や周囲はすべて砂利敷きにする」というスタイルを選んだのです。

予想外の出費にも繋がる?地盤調査から地盤改良工事の記録
古い家が完全に撤去され、まっさらな更地になると、いよいよそこから新しい家を建てるためのステップが始まります。次に行ったのが、新しい住まいの安全を支えるために絶対に欠かせない「地盤調査」です。
家づくりにおいて、この地盤調査の結果が出る瞬間ほど、施主としてハラハラするタイミングはないかもしれません。なぜなら、地盤が強ければそのまま次の基礎工事へ進めますが、もし「地盤が弱い」という結果が出た場合、地面を補強するための「地盤改良工事」が必要になり、数十万円から、場合によっては100万円を超えるような、事前の予算組みにない「予想外の出費」が突然発生してしまうからです。
我が家の敷地で実施されたのは、「スウェーデン式サウンディング試験法(現在はスクリューウエイトミキシング試験法などとも呼ばれる一般的な手法)」という調査でした。先端がキリのようになった鉄の棒に重りをのせ、地面にクルクルと回転させながら突き刺していくことで、どの深さにどれだけの硬さの地層があるのかを細かく測定する方法です。敷地の四隅や建物の中心など、いくつかのポイントでじっくりと調査が行われました。調査自体は1日で速やかに終わります。
調査の後、ドキドキしながらハウスメーカーからの報告書を待つことに。届いた結果の用紙には、我が家の土地が「氾濫低地(かつて川の氾濫などで土砂が堆積してできた、水分を多く含みやすい比較的軟弱な土地)」と推測される、という旨が書かれていました。そしてそこには、恐れていた「建物の不同沈下(家が斜めに傾いて沈んでしまうこと)を防ぐため、地盤補強することを推奨致します」という、明確な判定結果が記されていたのです。
一瞬、「あぁ、やっぱり予算が追加になってしまうか……」と頭をよぎりましたが、これから何十年も夫婦二人で安心して健康に暮らしていくための家です。目に見えない土台の部分をケチって、数年後に家が傾いてしまっては元も子もありません。「ここできちんと強い地面にしてもらえるなら、むしろ必要な経費だよね」と夫婦で気持ちを切り替え、推奨された通りのしっかりとした地盤改良工事を行う契約を結びました。
我が家の地盤に必要と判断されたのは、地面に深い穴を掘り、そこに頑丈な杭を何本も打ち込んで硬い地層(支持層)まで建物の重みを伝える「杭打ち工事(鋼管杭やコンクリート杭を用いた補強工事)」でした。
地盤改良工事の当日、現場には大きな重機が運び込まれ、我が家の細長い敷地に、最終的に合計「36本」もの頑丈な杭が次々と地面深くへと打ち込まれていきました。何もない更地だった場所に、36箇所の杭の頭がきれいに並んでいく光景は、なかなかの迫力でした。「これだけたくさんの杭が、私たちの新しい家を下からガッチリと支えてくれるんだ」と思うと、工事が始まる前の予算への不安はすっかり消え去り、大きな安心感へと変わっていったのを鮮明に覚えています。
この地盤改良工事にかかった日数は、重機の搬入から杭打ち、そして片付けまで含めて、実質的に数日ほどという大変スピーディーなものでした。
こうして振り返ってみると、古家の解体工事が始まってから、土壌を調査し、36本の杭打ち工事がすべて完了するまで、トータルでかかった期間は約1ヶ月半ほどでした。家づくりというと、どうしても柱が立ち上がって形が見えてくる「上棟」以降の華やかなプロセスに目が奪われがちですが、建物の下になって見えなくなる「解体」や「地盤改良」という初期の工程にこそ、職人さんたちの細かな技術や、将来の暮らしを守るための大切な選択がたくさん詰まっています。

-----
本記事の内容は10年以上前の体験に基づいています。
わが家の家づくりメモ一覧:
建替えの計画から引き渡し、築10年後の現在までの全体的な流れや、各プロセスの記録は「埼玉県民共済住宅|DIYから20年の体験記録」からご覧いただけます。

