無垢床にしてみた|メンテナンスと10年後の現在

 

注文住宅を建てる際、多くの人が憧れる「無垢の床」。我が家もウッドワンのピノアース(ウレタン塗装)を選び、気づけば築10年が経過しました。今回は新築5年目に起きたメンテナンスでの大失敗の事実と、10年経ってようやく分かった本当に正しいお手入れ方法をブログに書き残します。これから無垢床を選ぶ方や、日々のお手入れに悩む方の等身大のヒントになれば幸いです。

 


「原液直撒き」とスクイージー大作戦

家を建ててから5年が経った頃、お気に入りの無垢床を綺麗に保ちたいという思いから、本格的なワックスがけに挑戦することにしました。当時、色々とネットの情報を読んで「定期的にお手入れをすることが家を長持ちさせる秘訣だ」と思い込んでいた私は、メーカー推奨品として名前の挙がっていたリンレイの「床クリーナー」と、つや消しタイプのワックス「ノンブライト」を購入しました。しかし、ここから思いもよらない失敗が始まります

まずは床の汚れをしっかり落とそうと、「リンレイ 床クリーナー」のボトルを手に取りました。取扱説明書を読んだつもりになっていた私は、何を勘違いしたのか、クリーナーの原液をそのままリビングの床へ直接パシャパシャと撒いてしまったのです。当時の私は、これが正しい手順だと完全に信じ切っていました。本来であれば、このクリーナーは用途に合わせて水で薄めて使うべきものでした。原液をそのまま床に直接注ぐなど、水分を嫌う無垢床にとってあってはならない暴挙です

集まった液体の塊をスクイージーを使ってチリトリや古いタオルで素早く回収する、という作業をリビングの端から端まで行いました。スクイージーで水分を切り、最後にきれいな雑巾で何度も水拭きと乾拭きを繰り返しました。かなり大掛かりでハードな作業にはなりましたが、床はすっきりと綺麗になり、大きな達成感さえ抱いていたものです。

しかし、この大掃除から5年が経ち、築10年を迎えた今日、この記事を書くにあたってメーカーの資料や正しいお手入れ方法を改めて調べていたところ、当時の私にとっては信じられないような、二つの衝撃的な事実が判明しました

一つ目は、あのとき使ったクリーナーは、原液ではなく「水で薄めて使うべきもの」だったということです。そして二つ目は、スクイージーで水分をかき集めるという対応そのものが、実は無垢床にとって非常にリスクの高い行為だったということです。

窓ガラスのようにスクイージーで一気に水を切ると、床板と床板の間のわずかな隙間(サネと呼ばれる継ぎ目の部分)に、大量の水分を一時的に溜め込むことになります。ウレタン塗装で表面が守られているとはいえ、板の隙間には塗膜がありません。そこから大量の水分が染み込めば、木が水分を吸って膨張し、最悪の場合は床板が反り上がったり、接合部が盛り上がって元に戻らなくなったりする危険性があったのです

当時の我が家はたまたま運がよく、スクイージーの後に「古いタオルで素早く回収」し、「最後にきれいな雑巾で何度も何度も水拭きと乾拭きを徹底した」ため、奇跡的に実害が出ずにセーフだったわけです。もしあのとき水分を切りっぱなしにして放置していたら、大切な床を傷めていたかもしれません。5年目の当時はよかれと思って一生懸命取り組み、うまくできたと満足していましたが、正しい知識がないまま思い込みで動くことの危うさを、10年経った今になって深く痛感しています。

10年以上前に埼玉県民共済住宅で家を建て替えた時の無垢床をメンテナンスした時の写真

 


ウレタン塗装にワックスは「本来不要」だった

5年目の大騒動からさらに時が流れ、我が家は築10年の節目を迎えました。今回、ブログにまとめようと思い、調べてみたのですが、そこでさらにショックな事実を知ることになります。そもそも、我が家の床には定期的なワックスがけ自体が「本来不要」だったのです。

注文住宅で建てるなら無垢材にしたい、というのは家づくりの時からの我が家の願いでした。実際にショールームへ足を運んだ際、ワックスなし(自然塗料やオイル仕上げ)の無垢床が持つ、あの素朴で木そのものの素晴らしい質感を肌で実感し、夫婦そろって「絶対にこれがいい!」と即決したことを今でもよく覚えています。

しかし、実際に入居した後のメンテナンスの手間や、日常のお手入れにかかる時間、そして価格などを冷静に考慮し、現実的な選択肢を選びました。そうして採用したのが、標準オプションだったウッドワンの「ピノアース(ウレタン塗装)」です。そして10年が経った今振り返っても、「我が家はこれで大正解だった」と心から思っています。

なぜなら、この「ウレタン塗装」という仕上げ方法こそが、日々の扱いやすさを格段に上げてくれていたからです。ウレタン塗装は、木材の表面に硬く透明な樹脂の膜を形成する塗装です。この樹脂膜が水分や汚れの侵入をしっかりとブロックしてくれるため、素材自体は本物の無垢材でありながら、表面の扱いやすさは一般的な複合フローリングとほぼ変わりません。それにもかかわらず、私は「無垢床=定期的にワックスを塗って保護しなければいけないもの」という先入観を強く持っていたため、わざわざウレタン膜の上にさらにワックスを塗り重ねようとしていたわけです

床の仕上げタイプ表面の状態本来のワックス・オイルお手入れ
ウレタン塗装
(我が家のピノアース)
表面が強固な樹脂膜で覆われている。汚れや水に強い原則として不要。
膜があるためワックスが密着しにくい場合も
オイル仕上げ・自然塗料
(ショールームで憧れたタイプ)
木の中にオイルを染み込ませている。膜はなく、木の質感そのもの定期的なオイルの塗り込みや、専用ワックスでの保護が必要

あの5年目の「原液直撒き」とスクイージーでの大掃除の苦労はいったい何だったのだろう、と頭を抱えたくなりました。良かれと思って貴重な休日を使い、夫婦で汗だくになり、しかも床を傷めるリスクまで冒して行ったメンテナンスが、実はメーカー側からは「基本的に不要」とされている行為だったのですから、ショックを受けないわけがありません。

メーカーが推奨品としてノンブライトなどのワックスを挙げているのは、長年の使用によってウレタン塗装の表面が摩耗し、どうしても細かな傷が目立ってきたり、ツヤの引けが気になったりした際、あくまで「表面の美観を一時的に整えるための選択肢」として用意されているものだったようです。新築からわずか5年で、まだウレタン膜がしっかりと機能している状態であれば、わざわざリスクを冒してまでワックスをかける必要はまったくなかったのでした

実際に、あれからさらに5年が経過し、当時塗ったノンブライトの効果はとっくにほぼなくなっているはずの現在ですが、床の美しさはまったく損なわれていません。この経験を経て、私は「手入れを盛り込む」ことばかりを考えるのではなく、その建材の構造を正しく理解することの重要性を痛感しました。

10年以上前に埼玉県民共済住宅で家を建て替えた時の無垢床をメンテナンスする前の写真
10年以上前に埼玉県民共済住宅で家を建て替えた時の無垢床をメンテナンスした時の写真

 


素足の温かみを守る、究極にシンプルな「引き算」のお手入れ

築10年が経った今、我が家のピノアースはどうなっているかというと、夫婦そろって「この床にして、本当に良かった」と心から満足しています。家づくりの際、ウッドワンでは床以外にも無垢材の素晴らしいラインナップがあることを知り、どんどん欲が出てきてしまった私。結局、床以外の「階段、下駄箱、玄関部材、扉すべて、洗面化粧台」にいたるまで、すべてウッドワンの無垢材シリーズで揃えました。これが大正解で、家全体に統一感があり、年月を経た木ならではの落ち着いた深い色合いへと変化して、非常に良い雰囲気を醸し出しれくれています

ピノアースを10年使っていて特に驚かされるのは、その驚異的な復元力です。ウレタン塗装で表面が守られているとはいえ、ベースは柔らかいパイン(松)の無垢材ですから、生活していれば物を落としてそれなりに凹むこともあります。しかし、表面の繊維がプチッと切れていない、単に上から押し潰されただけの「へこみ」であれば、驚くほど元通りに直るのです。ウレタン塗装が施されているのにもかかわらず、です

凹んだ部分に少し水を垂らし、その上から濡れ雑巾をあててアイロンを数秒押し当てるだけで、木が水分を吸ってググッと膨らみ、平らな状態に戻ります。「表面に膜があるのに、木の調湿性や復元力がこれほど活きているのはなぜだろう」と不思議に思いますが、これこそがウッドワンの技術力なのだと、10年住んでみて日々実感しています

そんな素晴らしい特徴を持つ床だからこそ、5年目の大失敗と、その後に知った真実を踏まえ、現在の我が家が行き着いた手入れ方法は、驚くほど簡素な「引き算のお手入れ」です。特別なクリーナーも、定期的なワックスがけも一切必要ありません。現在の日常的なお手入れルーティンは以下の通りです。

  • 普段のお手入れ: 基本は「乾拭き」のみ。掃除機がけか、ドライシートを取り付けたフローリングワイパーでホコリや髪の毛を取り除く。
  • 気が向いたときのお手入れ: 水拭きは「たまに」だけ。雑巾を「固く固く絞って」、全体の皮脂汚れをさっと拭き取る。

これだけです。たったこれだけのお手入れですが、10年経った今も床はベタつくことなく、無垢特有の素足で歩いたときのサラサラとした温かみがしっかりと保たれています。ウレタン塗装という現代の技術のおかげで、汚れに神経質になりすぎる必要もなく、それでいて足裏に伝わる感触は無垢そのものという、まさに良いとこ取りの暮らしができています

良かれと思って施す過剰なメンテナンスは、時に素材に負担をかけ、住む人の気力も削いでしまいます。大切なのは、メーカーの標準仕様を信頼し、汚れたらその都度優しく取り除くという、シンプルな付き合い方を続けること。10年目の我が家の床が教えてくれたのは、そんな「飾らない、無理をしない」お手入れの心地よさでした。

 

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本記事の内容は10年以上前の体験に基づいています。現在の正確な情報や最新の手続きの流れは、公式サイト等でご確認ください。
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わが家の家づくりメモ一覧:
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