はじめて海外で暮らした30日|カリフォルニアのホームステイ

初めての海外生活は、高校生の夏休みの出来事でした。30日間のカリフォルニア滞在で感じたこと、体験したこと、そして小さな発見までをまとめています。あの頃のドキドキやワクワクが、今でも鮮明に思い出されます。

 


初めての海外

高校生の夏休み、ふと「海外ってどんな感じだろう」と思ったのが、この冒険の始まりでした。1990年代のことです。今のようにネットで情報を調べることもできず、知識のほとんどは新聞や雑誌に頼る時代。そんな中、偶然「ホームステイツアー」の広告が目に留まりました。

広告には「アメリカ・カリフォルニアでホームステイ」とあり、30日間の滞在中は現地家庭で生活し、さらにオプションでサンフランシスコやハワイ観光もできると書いてありました。当時の私は友達に相談するよりも、「やってみたい」という気持ちが勝り、直感で申し込みました。参加者は30人ほど。年齢や性格の異なる日本全国から集まった仲間たちと同じ旅を共有する安心感がありつつも、一人で海外に行く不安ももちろんありました。

飛行機に乗る前夜は、期待と不安が入り混じって眠れませんでした。「大丈夫かな、言葉は通じるのかな、迷子になったらどうしよう…」そんな考えがぐるぐる回っていました。でも同時に、「知らない世界に触れられる」というワクワク感もありました。この感覚は、今でも海外旅行をするときに似た気持ちとして蘇ります。

 


ホームステイ生活

カリフォルニアに到着すると、私を迎えてくれたのは父母と幼い二人の娘さんがいる4人家族でした。家の中に一歩入った瞬間、緊張がふっとほぐれ、温かい笑顔と自然体の雰囲気にホッとしました。近所に住む同世代の女の子も親切で、家に遊びに来てくれたり、彼女のバイト先に遊びに行ったりすることもありました。

昼間は日本人のツアー仲間と過ごすことが多く、テーマパークやロサンゼルス観光など、毎日が新鮮な体験の連続でした。ディズニーランドの広大さに圧倒され、ナッツベリーファームでのアトラクションに興奮し、ユニバーサルスタジオでは映画の世界をそのまま体験できる楽しさに夢中になりました。ボウリング大会や仮装イベントでは、照れながらもみんなで笑い合い、日本にいるときとは違うコミュニケーションの楽しさを感じました。

ホームステイ先での生活には、また違った楽しさがありました。乗馬や湖でのボート体験、映画館で日本語字幕なしの映画鑑賞、ショッピングモールでの買い物など、日常の中に非日常が混ざった時間を過ごしました。帰宅後は日本人がいない環境で、辞書を片手に会話する毎日。わからない時に日本語でつい独り言を言うと、家族は笑顔で「No Japanese~!」と言いながら対応してくれました。speakingはなかなか伸びませんでしたが、listeningは少しずつ理解できるようになり、最初はまったく何を言っているのかわからなかった会話も、最後にはだいたいの内容がつかめるようになりました。

ツアー仲間との交流も忘れられません。帰国後もお互いの実家に泊まったり、結婚式に参列したり、今でもランチを一緒にする友達がいます。言葉だけでなく、出会いや思い出が一番の財産になったと感じます。

 


日常の小さな発見

ホームステイ先では、家のルールや習慣の違いに戸惑うことも多く、最初は少し緊張しました。食事の時間、シャワーの順番、挨拶の仕方、テレビ番組の選び方など、日常のすべてが学びの連続です。

毎日持たせてくれたお弁当には必ず果物が入っていて、丸ごとそのまま入っているのがアメリカらしいなと思いました。皮ごと食べられるぶどうはとても甘く、今でもその味をはっきり覚えています。初めて食べるフルーツやスナックに驚き、少しずつ味覚も広がっていったように思います。

テーマパークや映画館での体験も、小さな発見の連続でした。映画館ではポップコーンの大きさや座席の広さに感動し、アトラクションの細かな仕掛けには思わず驚きました。買い物のシステムや店員さんの対応にも「日本と違うな」と気づくことがたくさんあり、レシートをお土産にすると言ったときには、とても驚かれたのを覚えています。

また、日常の中で感じたことも印象的です。ホームステイ先の家族が何気なく見せてくれた習慣や文化は、私にとって新鮮で、毎日の生活の中で少しずつ「自分の世界が広がっている」ことを実感できました。言葉が完璧でなくても、心を開いて相手と向き合うことの大切さを学んだ30日間でした。

 


あの30日間を振り返ると、今でも本当に宝物のような時間だったなと思います。語学力はもちろんですが、それ以上に異文化に触れたり、現地の家族や友達と過ごした時間、毎日のちょっとした発見…そういう経験がたくさん詰まっていました。50代になった今でも、カリフォルニアで過ごしたあの夏のことは色あせず、ホームステイ先の家族やツアー仲間とのつながりに、ふと感謝の気持ちが湧いてきます。

初めて海外で暮らすって、正直言うと期待と不安が半分ずつくらいでした。でも、やってみると想像以上に面白くて、失敗も笑い話になり、言葉が完璧じゃなくてもなんとかなるものだな、と実感しました。聞き取れなかったり、意味がわからなくて焦った瞬間も、後から思い出すと全部含めて楽しい思い出です。

今思うと、カリフォルニアでのホームステイは、語学だけじゃなくて「毎日の生活そのもの」を楽しむことの大切さを教えてくれた気がします。テーマパークや映画館での小さな驚き、ホームステイ先での会話や食事、買い物や街歩き…どれも、あとから振り返ると自分の世界を少しずつ広げてくれた時間でした。あの夏に感じたことや学んだことは、言葉や文化を超えて、今でも心の中で生き続けています。