20代の頃、日比谷界隈で働いていた私にとって、帝国ホテルのロビーは待ち合わせをするのが精一杯な、背伸びしても届かない憧れの場所でした。時が流れ、夫婦で結婚記念日や誕生日を祝うために「インペリアルバイキング サール」を訪れました。その一皿一皿には、あの頃の思い出と共に深い感慨があります。
日本のバイキング発祥の地
帝国ホテル本館17階にある「サール」は、1958年に日本で初めて「バイキング」という食のスタイルを生んだ聖地です。今もなお、特別な日を託せる最高峰のレストランとして、その品格を保ち続けています。
私がこちらを訪れたのは10年近く前のこと。当時は伝統的なスタイルで存分に楽しみましたが、最近の状況を調べてみると、時代の変化に合わせてサービスもさらに磨かれているようです。一時期導入されていたオーダー形式から、現在は再び「料理を自ら自由に選んで取りに行く」フルブッフェ形式へと戻り、バイキング本来の活気が戻っています。それに加えて、シェフが目の前で一皿を仕上げる「ライブキッチン」がより強化された、現代的なハイブリッドスタイルになっているとのこと。
予約については、現在も変わらず非常に人気が高いため、公式サイトやオンライン予約サービスからの事前確保が必須なようです。特に週末のランチ枠は数週間前から埋まってしまうことも珍しくありません。記念日などの大切な予定がある場合は、早めに空き状況をチェックするのが安心です。
店内は、日本の迎賓館としての歴史を感じさせる重厚さと、17階からの開放的な眺望が調和した素晴らしい空間です。10年経った今も心に残っているのは、スタッフの方々の洗練されたホスピタリティ。私たちの結婚記念日の際には、さりげなく「おめでとうございます」と温かい声をかけてくださり、誕生日のメッセージプレートを添えた特製ケーキを用意してくださいました。その場で撮影していただいた写真は、品の良い封筒に入れてプレゼントされ、今でも我が家のリビングに大切に飾っています。こうした、年月を経ても変わらない「心」のサービスこそが、帝国ホテルを訪れる最大の喜びなのだと感じます。


これだけは外せない!伝統のローストビーフと心を満たす至福のメニュー
料理のラインナップは、まさに帝国ホテルの美食の集大成。一品一品が、ビュッフェの枠を完全に超えたメインディッシュ級の完成度を誇ります。
まず絶対に足を運ぶべきは、ローストビーフのカッティングコーナーです。創業当時から変わらぬ製法で、じっくりと焼き上げられた塊肉をシェフが目の前で切り分けてくれます。10年前のあの日、夫婦で「美味しいね」と顔を見合わせたあの柔らかさと、グレービーソースの深い味わいは、今も多くのファンを魅了し続けているサールの象徴です。
また、帝国ホテルの矜持を感じさせる「コンソメスープ」も忘れてはいけません。不純物を一切感じさせない透き通った黄金色のスープは、一口飲むだけで、どれほどの手間暇をかけて作られたかが瞬時に伝わります。一口ごとに胃の腑に落ち、心が整っていくような不思議な感覚。こうした「基本の料理」の完璧さこそが、私たちがこの場所を信頼する理由です。
現在のブッフェ台には、フランス料理をベースにしながらも、最新のトレンドを取り入れた多彩なメニューが並んでいるそうです。特に、野菜の甘みとスパイスのコクが絶妙な「帝国ホテル伝統のカレー」や、ライブキッチンで提供される熱々の新作料理などは、何度訪れても新しい感動があると言います。
私たち夫婦はあちこちのホテルビュッフェを巡るのが好きでしたが、やはり「サール」の満足感は別格でした。20代の自分が見たら腰を抜かすような贅沢な食卓ですが、大人になったからこそ、一皿一皿に込められた歴史や技術を深く理解し、感謝しながら味わうことができます。最後は、これまた伝統のアップルパイに、なめらかなバニラジェラートを添えて。自分で好きなものを好きなだけ盛り付けられる楽しさは、大人にとっても最高の贅沢です。
食後の日比谷さんぽ。緑と歴史に包まれる大人の贅沢な時間
ホテルのすぐ目の前に広がる日比谷公園は、都会の真ん中とは思えない静謐な時間が流れる場所。春には色鮮やかな花々、秋には黄金色のイチョウ並木と、四季折々の表情を見せてくれます。大噴水を眺めながらベンチで一休みすれば、心地よい風が通り抜け、食事の後の火照った体を優しく冷ましてくれます。
また、再開発が進んだ近隣エリアも見どころが豊富です。すぐ隣の「東京ミッドタウン日比谷」で最新のショップをのぞいたり、屋上の空中庭園から皇居の緑を見渡すのも良いでしょう。お向かいの「日比谷シャンテ」でゆったりとお買い物を楽しむのも大人の定番です。さらに少し足を延ばせば、明治時代の趣を残す「法務省旧本館」のような重要文化財の建物や、落ち着いた雰囲気の美術館が点在しており、知的好奇心を満たす大人の街歩きには事欠きません。
かつてロビーの華やかさに圧倒され、ただ待ち合わせをするだけで精一杯だった、若き日の自分。あの頃抱いていた「いつかあそこで食事ができる大人になりたい」という小さな願いが、今、こうして穏やかに叶っていること。帝国ホテルでのランチは、私にとって単なる食事の記録ではなく、自分たちが歩んできた時間を肯定し、明日への活力に変えてくれる、人生の最高のご褒美なのです。
お店の場所はこちらです ~~~
訪れたのは「帝国ホテル 東京 ブフェレストラン インペリアルバイキング サール」
詳しいメニューや予約については、[公式サイト]をのぞいてみてくださいね。

