私たちが暮らすことになった家は、築30年の古い住宅でした。
1階の8畳の和室、2階の10畳の和室、そして玄関ホール。
どの空間も、壁はすべて砂壁のままでした。
玄関ホールはグレー、和室は少し緑がかった色合い。
もともとは落ち着いた雰囲気だったのかもしれませんが、長い年月の中で全体的にくすみ、光を吸収するような重たい印象になっていました。
特に気になっていたのが玄関ホールでした。家に入って最初に目に入る場所なのに、昼間でも少し暗く感じる状態でした。来客があると、どうしても視線が集まる場所でもあり、ずっと気になっていた部分でした。
和室も同じように、畳や木枠と合わさることで空間全体が沈んで見え、実際よりも狭く感じていました。
砂壁のままで感じていたこと
見た目の問題だけではなく、砂壁特有の扱いにくさもありました。
壁に軽く触れると、細かい砂がぽろぽろと落ちます。
掃除をしても、しばらくすると巾木や床にうっすらと粉が積もっている状態でした。
毎日ではないものの、その積み重ねがじわじわとストレスになっていました。
古い家だから仕方ないと思いながらも、
「このままでいいのか」という気持ちは少しずつ大きくなっていたように思います。
壁が暗いことで、照明や家具の印象も活かしきれていないような感覚もありました。


DIYで砂壁に壁紙を貼ることにした理由
壁を整える方法はいくつかありました。
業者に依頼して全面的にリフォームする方法も考えましたが、費用や工事の規模を考えると現実的ではありませんでした。
この家は将来的に建て替えも検討しているため、大規模な改修は避けたいという気持ちもありました。
そこで選んだのが、砂壁の上から壁紙を貼るDIYでした。
解体を伴わずに印象を変えられること。
費用を抑えながら、自分たちのペースで進められること。
手間はかかるけれど、今の生活を整える方法としてはちょうどいい選択だったように思いました。


壁紙選びで考えたこと
壁紙は部屋の印象を大きく左右するため、選ぶ段階でも少し迷いました。
今回は、のり付きの壁紙を選びました。あらかじめ接着剤が付いているタイプで、DIYでも扱いやすいと感じました。
厚みは標準的なものを選びました。砂壁の凹凸にある程度対応できることと、扱いやすさのバランスを考えた結果でした。
色は白を選びました。
もともと暗さが気になっていたため、光を反射する色にしたいと思ったのが理由でした。
壁の面積が広い分、色が変わることで空間全体の印象も大きく変わると感じていました。
柄については無地にしました。
砂壁の凹凸をできるだけ自然に隠しつつ、全体をすっきり見せたかったためです。
本来であればサンプルを取り寄せて確認するのが安心ですが、今回は情報だけを参考に選びました。
作業前の準備
DIYを進めるにあたって、準備の段階に意外と時間をかけました。
まずは家具の移動です。壁際にある棚や小物をどかし、作業スペースを確保しました。大きな家具は部屋の中央に寄せる形にしました。
次に、壁の表面のほこりを軽くブラシで払いました。
強くこすると砂壁が崩れてしまうため、あくまで軽く整える程度にしました。
今回はシーラーも使用しました。砂壁は吸い込みが強いため、そのまま壁紙を貼ると接着が弱くなる可能性があると感じたからです。
実際の施工の流れ
作業は一度にすべて終わらせるのではなく、1日1部屋を目安に進めました。
まず壁の寸法を測り、必要なサイズに壁紙をカットしました。
窓や扉の周りは細かい調整が必要で、この工程は思っていたよりも神経を使いました。
次にシーラーを塗布しました。ローラーとハケを使い、できるだけ均一になるように広げました。
吸い込みが強い部分は追加で塗る必要があり、この工程が仕上がりに影響するように感じました。
しっかり乾燥させた後、壁紙を上から順に貼っていきました。
スキージーで空気を抜きながら、少しずつ圧着していく作業でした。
一度に広く貼ろうとするとズレやすくなるため、少しずつ進める方が結果的にきれいに仕上がりました。
最後に端をカットして整え、全体のバランスを確認しました。


作業中に感じたこと
思っていた以上に体力は使いました。
脚立に乗っての作業や、上を向いた状態での貼り付けは、時間が経つと腕や肩に負担がかかりました。
ただ、少しずつ壁が白く変わっていく様子を見ると、作業の手応えも感じられました。
夫婦二人で進めたことで、協力しながら作業できたのもよかった点でした。
1日ごとに区切って進めたことで、無理なく続けられたように思います。


変化とその後
すべての作業が終わったあと、まず感じたのは明るさの変化でした。
砂壁のくすみがなくなり、白い壁になったことで光の反射が増え、部屋全体が軽くなったように見えました。
玄関ホールも、以前より明るく感じるようになりました。
入った瞬間の印象が少し変わったように思います。
掃除も楽になりました。
砂が落ちることがなくなり、床や巾木の粉を気にすることが減りました。
壁紙、障子、襖なども同じトーンで揃えたことで、空間全体に統一感が出たように感じました。


今回の砂壁DIYは、全部で6日ほどかかりました。
作業自体は手間もかかり、体力も必要でしたが、それ以上に得られる変化は大きかったと感じています。
古い家でも、壁が変わるだけで空間の印象は大きく変わるものだと思いました。
完璧な仕上がりではありませんが、自分たちの手で整えた空間という感覚が残りました。
毎日過ごす場所だからこそ、少しの変化が積み重なって快適さにつながる。
そんなことを実感した6日間でした。