モルディブ体験記|透き通る海で味わった「奇跡のウニ」と青の記憶

インド洋に浮かぶ真珠の首飾りのような、美しい島々からなるモルディブ。20年以上前のあの日、世界一周クルーズの途上で1日滞在のために船を降りた私が目にしたのは、どこまでも透き通るエメラルドグリーンの海と、南国特有ののんびりとした時間の流れでした。50代を迎えた今、手元に残る当時の通貨をそっと見つめながら、あの日肌で感じた現地の鮮烈な記憶と、絶え間なく進化を続ける現在のモルディブへ、ゆっくりと愛おしい思いを馳せてみたいと思います。6月上旬の旅行記として、当時の熱気をお届けします。

 


モルディブ― 知っておきたい基礎知識

広さ

総面積は約298平方キロメートルであり、これは東京23区全体のちょうど半分ほどに相当する、極めて小さな規模の国土です。この限られた土地が、数多くの小さな島々に分かれて点在しているのが大きな特徴となっています。

気候のポイント

国全体および首都マーレ一帯は熱帯モンスーン気候に属しており、当時はちょうど雨季の始まりにあたる時期のため、うだるような熱気と独特の強い湿度が空間を満たしていました。遮るもののない強烈な太陽が照りつけると、肌を焦がすような過酷な暑さを強く感じたのを覚えています。

 

(最新の情報は「モルディブ政府観光局(Visit Maldives) 公式サイト」にてご確認ください)

 


碧い海でのシュノーケリングと、衝撃の「とれたてウニ」体験

海に浸かりながら味わった「一生モノ」の味

当時、私がこの美しい寄港地を訪れた際、現地の海を満喫するために参加したのが、モルディブビーチでの海水浴ツアーでした。その中で、今でも強烈に胸に残っているのが、海の中にいながらにして体験した、ある驚くべき味覚の思い出です。

美しく透き通る浅瀬に身を浸して泳いでいると、足元の砂地に小さなウニのような生き物がたくさん生息しているのを見つけました。ツアーの現地スタッフの方が、これはウニだと教えてくれたので、おそらく間違いなくウニだったのだと思います。スタッフの方はその場でそれを器用にいくつか捕まえて、なんと私たちの目の前で割って手渡してくれたのです。実は、私はそれまで日本で食べるウニ特有の独特の臭みがどうしても苦手で、自ら進んで口にすることはまずありませんでした。しかし、あの日海に入りながらその場で口へと運んだ獲れたての身は、そんな苦手意識を一瞬で吹き飛ばすほど、まったく臭みがなくて濃厚な甘みに満ちあふれていたのです。

どこまでも広がる青い海に浸かりながら、自然の恵みをそのままいただくという野生味溢れる贅沢な経験は、私の人生において後にも先ほどにもこの一回きり、最初で最後の特別な出来事となりました。あの日、エメラルドグリーンの水面に体を浮かべながら、指先で触れたウニの確かな感触と、口いっぱいに広がった瑞々しい初夏の甘みは、今でも目を閉じれば鮮明に蘇るほど、私の記憶の宝箱の中で今もなお眩しく輝き続けています。

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※注:これは20年以上前のエピソードです。現在のモルディブでは海洋生態系を守るためのルールが整備されており、サンゴや海洋生物に触れたり、採取したりすることは厳禁とされています。今ではもうできない、当時ならではの貴重な思い出です。

 

20年以上前の世界一周クルーズで訪れた、モルディブの海辺の店で休憩しているときの写真

シュノーケリングとジェットスキーのスリル

海の中をじっくりとのぞき込むシュノーケリングの時間では、息をのむほど透明な水の中を色鮮やかな魚たち優雅に泳ぎ回る姿を間近で観察でき、まるで天然の水族館に迷い込んだかのような深い感動を覚えました。

さらにツアーの後半には、ジェットスキーにも乗せてもらう機会に恵まれました。水しぶきを豪快に浴びながら、信じられないほどのスピードでエメラルドグリーンの海上を駆け抜けていくスリルと爽快感は圧倒的で、全身で南国の海のエネルギーを感じることができました。静かに海に浸かってウニを味わった静寂の時間と、激しく波を切り裂いて進んだジェットスキーの動的な興奮。その両方を一日のうちにこれでもかと詰め込んで味わい尽したあの日の一部始終は、私の旅路の中でもひときわ眩しい、最高のひとときとして刻まれています。

 


当時の通貨と、忘れられない記憶

手元に残った「ルフィア」と「ラーリ」

20年以上前の旅の終わりに、自分へのささやかな記念として持ち帰ったものがあります。それは、当時使われていたモルディブの通貨、ルフィア(Rufiyaa)とラーリ(Laari)です。

手元には、10ルフィア紙幣と、1ルフィア硬貨、そして50ラーリ硬貨が残っています。これらの貨幣を眺めていると、マーレの小さな売店で冷たい飲み物を買った時のことや、ツアーの代金を支払った時の手の感覚が蘇ります。

10ルフィア紙幣は、当時の私にとって非常にエキゾチックなデザインに映りました。モルディブの主要産業である漁業や、島々の風景が描かれたその紙幣は、この国が海と共に生きていることを象徴しているようでした。そして1ルフィア硬貨と、その下の単位である50ラーリ硬貨。これらのコインを掌に載せると、20年以上という月日が経っても、あの日のマーレの太陽の熱を思い出させてくれるような気がします。

貨幣の変化と、変わらない旅の価値

調べてみると、現在のモルディブでも基本的には「ルフィア」と「ラーリ」が使われ続けていますが、その姿は大きく変わっているようです。特に紙幣に関しては、近年デザインが一新され、より鮮やかな色彩と高度な偽造防止技術を備えたシリーズが流通していると聞きます。最新の情報によれば、素材も紙から耐久性の高いポリマー(プラスチック)製へと切り替わっているものもあるようです。

私が見ているこの少し古びた「紙」の10ルフィア札は、もはや現地ではあまり見かけない古い世代のものかもしれません。1ルフィアや50ラーリといった硬貨についても、発行年によってデザインの細部や素材が変わっている可能性があります。現在のモルディブは、世界屈指の高級リゾート地として発展し、決済もクレジットカードやデジタルな方法が普及しているのではないでしょうか。

 

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※この記事は20年以上前の体験をもとに構成しており、現在の正確な現地の状況については公式サイト等をご確認ください。


今回の訪問地:モルディブ