イタリア体験記|現地の若者と歩いた活気あふれる大学街とリラの思い出

7月上旬の強い日差しが降り注ぐ中、私はナポリの港に降り立ちました。20年以上前のことになりますが、当時のナポリは今よりもずっと雑多で、どこか危ういけれど、それ以上に人々の熱気に満ちあふれていました。「現地の若者との交流ツアー」は、言葉の壁を超えて心が通じ合った、私にとってかけがえのない宝物です。当時の記憶を紐解きながら、近年のナポリの様子と比較しつつ、この街の奥深い魅力をお伝えします。

 


イタリア ― 知っておきたい基礎知識

広さ

イタリア共和国の総面積は301,340平方キロメートルであり、この中にはシチリア島やサルデーニャ島といった大きな島々も含まれています。この広さは、日本の総面積よりもやや小さく、日本の約8割程度に相当する国土を擁していることになります。

気候のポイント

一般的なイタリアの気候

イタリアは国土が南北に長いため地域による気候の差が大きく、全般的には地中海性気候に属しており、夏季は乾燥して日差しが強く、冬季に雨が多くなる特徴を持っています。

旅の舞台「ナポリ」の気候

ナポリは温暖湿潤気候と地中海性気候の境界に位置しており、夏季は非常に乾燥して雨がほとんど降らず、日照時間が非常に長いという特徴があります。

 

(最新の情報は「イタリア政府観光局(ENIT) 公式サイト」にてご確認ください)

 


ナポリを巡る旅

現地の若者との交流ツアー

あの日、私はナポリで現地の若者たちと直接コミュニケーションを図る交流ツアーに参加していました。街中にある大学の敷地や、歴史を感じさせる古い街並みを彼らと一緒に歩いたのですが、当時はお互いの言葉が正確には通じない状態でした。それでも、身振り手振りや表情を交えながらコミュニケーションを重ねるうちに、言葉の壁を越えて非常に楽しい時間を共有することができ、意思というのは何とか通じるものなのだなという実感を強くしたことを覚えています。その時は目の前の交流に文字通り必死になっていたため、手元に残った写真がほぼないのが今となっては少し残念ですが、現地の若者たちの笑顔とともに心に深く刻まれている大切な思い出の1コマです。

ニコラ・アモーレ広場

遮るもののない強烈な太陽が照りつける中、ナポリの街中にあるニコラ・アモーレ広場を訪れました。この広場は非常に交通量が多く、周囲の建物や道路を含めてナポリという都市が持つ独特の活気やエネルギーがそのまま凝縮されたような場所でした。広場の中央付近から周囲を見渡した景色や、その時に感じた現地の空気に圧倒された記憶が今も残っています。当時は周囲の建物の建築様式や広場の歴史的な背景について深く知る由もありませんでしたが、その空間に身を置いているだけで、異国に来たのだという強い実感が湧き上がってきたことを覚えています。見上げるほどに立派な建物に囲まれた四角い空間と、そこを行き交う人々の姿は、当時の私の目にとても新鮮に映りました。写真こそあまり多くは残っていませんが、あの場所で肌に受けた強い日差しと、周囲から聞こえてきた賑やかな街の音は、今でもナポリの街の印象として私の心の中に深く残り続けている大切な記録の一つです。

ヌオーヴォ城

港の近くにそびえ立つ重厚な建築物であるヌオーヴォ城にも足を運びました。巨大な塔と堅牢な石壁で構成されたその外観は非常に存在感があり、ナポリの長い歴史を無言で物語っているかのような迫力に満ちていました。当時の私はその城壁の大きさを目の当たりにして、中世の要塞が持つ独特の威圧感と美しさをじかに触れたような気持ちになりました。周囲を歩きながら見上げた巨大な石の建造物は、日本で見る城とは全く異なる圧倒的なスケール感を持っており、その重厚な佇まいにただただ見惚れてしまうばかりでした。青い空を背景にどっしりと構えるその姿は、遠くからでも一目でそれと分かるほど個性的で、港町ナポリの象徴として強く印象に残っています。あの日、お城のすぐ近くまで行ってその壁の質感や大きさを観察できたことは、当時の私にとって異国の歴史に直接触れる素晴らしい機会となりました。

 


当時の通貨と、忘れられない記憶

ユーロ直前の「リラ」の価値って?(当時の物価と現在の価値)

当時はまだヨーロッパの共通通貨であるユーロが導入される前であり、イタリアの独自通貨である「リラ(Lira)」が流通していました。手元に残している紙幣は10000リラ、5000リラ、1000リラの3種類です。イタリア・リラは1861年から2002年まで公式通貨として使用されていました。イタリアにおけるユーロの公式な導入は1999年1月1日ですが、一般の人が手にする紙幣や硬貨としての流通が始まったのは2002年1月1日のことです。私が滞在した時期はまさにその直前であり、現金をリラとして支払っていた最後の時代でした。

20年以上前の世界一周クルーズで訪れた、イタリアのリラ紙幣

バイカラー(2色)硬貨の先駆け!硬貨の雑学

私の手元には、お釣りとして受け取って持ち帰ってきた1000リラ、500リラ、200リラ、100リラ、50リラの5種類の硬貨が残されています。これらの硬貨の中でも特に注目すべきなのが500リラ硬貨であり、これは内側と外側で異なる金属を組み合わせた「バイカラー(2色)硬貨」の構成になっています。イタリア・リラにおける500リラバイカラー硬貨は1982年に初めて発行されたもので、これは近代の流通硬貨としては世界で初めてバイカラー技術を実用化した非常に先進的な硬貨として知られています。さらに、この500リラ硬貨の裏面の上部には、点字で額面が刻印されているという特徴もあります。

「リラからユーロへ」消えゆく通貨の切なさ

2002年1月1日からユーロの紙幣と硬貨の流通が開始されたことに伴い、イタリア・リラは同年2月28日までのわずか2ヶ月間という短い並行流通期間を経て、その歴史に幕を閉じました。あの日、イタリア国内で買い物をした際に出たお釣りを、私は自分自身への何よりの旅の土産としてお財布の中に大切にしまい込んでいました。現在ではイタリア国内に行ってもリラ貨幣を使って買い物をすることは絶対に不可能ですし、現行のユーロへの交換窓口も2012年で終了しているため、公式な金銭価値は持っていません。しかし当時の旅の熱気とともに残されたこれらの貨幣は、あのナポリの夏を鮮明に思い出させてくれる大切な記録となっています。

 

 

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※この記事は20年以上前の体験をもとに構成しており、現在の正確な現地の状況については公式サイト等をご確認ください。


今回の訪問地:イタリア