キューバ体験記|ハバナの熱風とチェ・ゲバラの面影を辿る旅

カリブ海に浮かぶ社会主義の国で、私が見た景色と肌で感じた熱気は、今も色褪せることがありません。当時の記憶と、近年大きく変わりつつある現地の最新情報を交えて綴ります。

 


キューバ ― 知っておきたい基礎知識

広さ

キューバの国土面積は110,860平方キロメートルであり、これは日本の本州の約半分に相当する大きさとなっています。キューバ本島のほか、旧ピノス島にあたる「青年の島」、そして1,600以上の小さな島々や多島海を含む広大な群島によって構成されています。

気候のポイント

一般的なキューバの気候

キューバの気候は亜熱帯性海洋性気候でサバナ気候に属し、年平均気温は摂氏25.5度、5月から10月までが雨期とされています。乾期は11月から4月で、季節変化は主に降水量に左右され、8月から10月にはハリケーンが襲来します。

旅の舞台「ハバナ」の気候

ハバナの平均気温は摂氏25度でサバナ気候と熱帯モンスーン気候の境にあり、年間降水量は1,189ミリで5月から11月は湿度が高くなります。また、ハリケーンの通り道にあたるため被害を受けやすく、2005年7月にも直撃による被害を受けたとされています。

 

(最新の情報は「キューバ政府観光省 公式サイト」にてご確認ください)


キューバの魅力まるごと体験ツアーを巡る旅

カサ・デ・ラ・アミスタッド

2日滞在したハバナでは、キューバの魅力まるごと体験ツアーに参加しました。あの日訪れた場所のひとつが、カサ・デ・ラ・アミスタッドです。美しい庭園や歴史を感じさせる重厚な建築様式が非常に印象深く、現地の文化や当時の雰囲気が漂う独特の空間でした。この建物はかつて邸宅として建てられ、現在は「友好の家」として国内外の交流の場や文化的な拠点として活用されているようです。

20年以上前の世界一周クルーズで訪れた、キューバのカサ・デ・ラ・アミスタッドの風景

ハバナの革命広場にある内務省の建物

うだるような熱気の中で視界に飛び込んできたのは、広大な広場に面して建つ巨大な建物の壁面に、巨大なチェ・ゲバラの肖像が描かれている光景でした。肖像の下には彼の有名なスローガンである「Hasta la victoria siempre(常に勝利に向かって)」という文字が掲げられており、その圧倒的な存在感と社会主義国としての象徴的な景観に、ただ息をのむばかりでした。この肖像は彫刻家のエンリケ・アビラによって制作され、スチール製のラインで描かれた記念碑的な作品です。テレビや本の中でしか見たことがなかったチェ・ゲバラの姿が、現地の政治や生活の中心地にこれほど大きな規模で溶け込んでいる事実を目の当たりにし、自分が今まさにキューバという国に立っていることを強く実感させられた瞬間でした。

20年以上前の世界一周クルーズで訪れた、キューバのハバナの革命広場にある内務省の建物の風景

サン・カルロス・デ・ラ・カバニャ要塞

目にしたのは、ハバナ湾の入り口にそびえ立つ、石造りの非常に強固で巨大な要塞の姿でした。当時はその規模の大きさに圧倒されるだけでしたが、この要塞は18世紀にスペインによって建設された、アメリカ大陸でも屈指の規模を誇る複合軍事要塞のようです。強烈な日差しに照らされた古い石壁は長い年月の風雨を耐え抜いてきた凄みがあり、かつて大西洋を往来する船を監視し、海賊や敵国からの防衛拠点として機能していた歴史の重みが、その佇まいからそのまま伝わってくるようでした。敷地内を歩きながら、高い壁の向こうに広がるハバナの海を見つめたその瞬間は、今でも忘れられない景色となっています。

20年以上前の世界一周クルーズで訪れた、キューバのサン・カルロス・デ・ラ・カバニャ要塞の風景

ハバナ大聖堂(サン・クリストバル大聖堂)

目の前に現れたのは、非対称に建てられた2つの塔と、バロック様式の波打つような美しいファサードを持つ、古びた石造りの聖堂でした。このハバナ大聖堂はカテドラル広場に位置しており、トスカーナ様式の要素を取り入れたキューバ・バロック建築の傑作とされ、かつてクリストファー・コロンブスの遺骨が安置されていた時期もあるみたいです。周囲の建物を含め、時間の経過によって黒ずんだ石の質感が、かえってこの場所の神聖さと歴史の深さを強調しているように見えました。中に入ると、外のうだるような熱気が嘘のように静まり返っており、高い天井と厳かな祭壇が配置された空間の中で、しばらく静かに過ごした記憶があります。ハバナの街が持つヨーロッパの面影と、カリブ海の文化が融合した独特の空気感を象徴するような、あの日体験した最も美しい建築物のひとつです。

20年以上前の世界一周クルーズで訪れた、キューバのハバナ大聖堂(サン・クリストバル大聖堂)の風景

旧国会議事堂(カピトリオ)

ハバナの街並みの中で一際目を引く、巨大なドームを持った白く美しい建物がそこにありました。当時はアメリカのワシントンD.C.にある連邦議会議事堂にとてもよく似ているなと思いましたが、このカピトリオは1929年に完成し、実際にアメリカの議事堂に着想を得て設計されたもので、かつては国会議事堂として、現在は科学環境技術省の建物などとして使用されているようです。青い空を背景にそびえ立つその壮麗なファサードと細部まで施された彫刻の美しさは、ハバナがかつて栄華を極めていた時代の記憶をそのまま今に伝える記念碑のようでした。あの日、周囲を行き交う現地のクラシックカーとともに視界に収まったカピトリオの景色は、まさにキューバを象徴する絵画のような一コマであり、時系列の並びは分からなくなっても、ハバナの風景として心に深く刻み込まれています。

20年以上前の世界一周クルーズで訪れた、キューバの 旧国会議事堂(カピトリオ)の風景

 


当時の通貨と、忘れられない記憶

財布にチェ・ゲバラ!?最強のお宝「3ペソ」と「10ペソ札」

私の手元には、当時入手した10ペソ紙幣や10ペソ硬貨、3ペソ硬貨、25の硬貨が残っています。3ペソ硬貨にはチェ・ゲバラの肖像がデザインされています。あの日、ハバナの街で手に入れた10ペソ札や3ペソ硬貨は、単なるお金ではなく、キューバの激動の歴史と革命の記憶がそのまま刻み込まれた、まさに「最強のお宝」でした。

3ペソに描かれたチェ・ゲバラの肖像はもちろんのこと、10ペソ札に描かれた独立の英雄マクシモ・ゴメスの姿を目の当たりにした時、この国が歩んできた歴史の重みが日常の紙幣にまで息づいている事実に強い衝撃を受けました。観光客向けの綺麗な外貨ではなく、現地の人々の生活の息吹が染み込んだこれらのお札や硬貨は、あの日ハバナに滞在した私にとって、何にも代えがたい旅の記念品(お宝)として今も手元に大切に残されています。

20年以上前の世界一周クルーズで訪れた、キューバでもらったおつりの硬貨

なぜ「25」?社会主義国に残るアメリカの影

キューバでは25センタボ硬貨などが発行されており、これはアメリカの25セント(クォーター)通貨体系の影響を受けたとされています。対立の歴史を持ちながら、日常の単位にアメリカの影が残る事実は、今調べてみても非常に興味深い歴史の足跡です。

現地人と観光客の「二重通貨」

その当時、現地人と観光客の通貨は分かれていました。かつて国内用の「キューバ・ペソ(CUP:カップ)」と観光客用の「兌換ペソ(CUC:クック)」の二重通貨制度が採用されていました。あの日、手元のお金がどちらの価値か分からず使用していましたが、商店と観光客向け施設での重みの違いは、今も忘れられない強烈な記憶です。

20年以上前の世界一周クルーズで訪れた、キューバでもらったおつりの紙幣

 

 


今回の訪問地:キューバ