香港クルーズ体験記|学生たちと巡るトラムツアーと「激レア紙幣」の謎

20代の頃、世界一周クルーズの寄港地として降り立った香港。あの日、私の目に飛び込んできたのは、返還から数年が経ち、凄まじい活気とエネルギーに満ちあふれたエネルギッシュな港町の姿でした。50代を迎えた今、当時の記憶を愛おしく振り返りながら、手元に残る思い出の品々と共に、あの煌びやかな街へ心の旅に出かけてみようと思います。

 


香港― 知っておきたい基礎知識

広さ

  • 面積:総面積は約1,114平方キロメートルです。これは日本の東京都の約半分、あるいは沖縄本島とほぼ同じ大きさに相当し、限られた土地の中に高層ビルが密集する独特の都市景観を作り出しています。

気候のポイント

  • 亜熱帯気候で四季がはっきりしており、私が訪れた5月下旬は「夏の始まり」にあたります。年間を通じて高温多湿で雨が多い時期ですが、この時も南西からの季節風によるうだるような熱気と、東南アジア特有のエネルギッシュな強い太陽が非常に印象的でした。

 (最新の情報は「香港政府観光局公式サイト」にてご確認ください)

 


異国の風を感じる、トラムツアーと街歩きの旅

現地の学生たちと巡るトラム交流

クルーズのオプショナルツアーとして企画されていた、現地の学生たちと一緒に「トラム(路面電車)」に乗って街を巡る交流会は、今でも鮮烈に胸に残る大切な記憶の一片です。

香港島を東西に駆ける2階建てのトラムは、100年以上の歴史を誇るこの街のシンボル。あの時は、開け放たれた窓から吹き込んでくるどこか湿気を帯びた熱風を感じながら、目を見張るようなスピードで目の前を通り過ぎていく高層ビル群のスリルに、ただただ圧倒されていました。案内してくれた学生さんたちのキラキラとした真剣な眼差しと言葉を交わしながら過ごした時間は、何物にも代えがたい温かい思い出です。天気にも恵まれたため、移動中も街のエネルギーを肌で存分に感じることができ、1日中胸が高鳴りっぱなしでした。

この伝統的なトラムは、現在も一回の乗車賃が非常に安価に据え置かれ、市民の大切な足として現役で愛され続けているようです。近年では観光客向けに、クラシックなオープントップ仕様の「トラムラマ」という特別なツアーも運行されていると耳にし、もし再び訪れる機会があれば、あの時と同じように心地よい風に吹かれながら、流れる街並みをのんびりと眺めてみたいものだと想像が膨らみます。

「高台に行かなくても美しい」船上からの夜景

私の手元には、当時の夜景を写した1枚の写真が残っています。

夜の船上から撮ったため少し不鮮明で、当時は「ただ綺麗な夜景だな」と圧倒されるばかりで、ビルの名前なんて全く記憶にありませんでした。

今回、ブログに載せるにあたって試しに最新のAI画像検索にかけてみたところ、「香港島にある象徴的な高層ビル群の夜景」という結果が出ました。

20年前の私は何も知らずにただシャッターを切っていましたが、時を経て50代になった今、AIの力を借りて「あの日の景色の正体」を答え合わせする。そんなデジタルな体験に、なんだか時空を超えた楽しさを感じてしまいました。

高い山に登る体力を遣わずとも、世界一周クルーズの船の上という大人の特等席から、静かに煌びやかな光に包まれる時間は、本当に贅沢なひとときでした。

20年以上前の世界一周クルーズで訪れた、香港の夜景

記憶に残る、美味しすぎる中華料理のメモ

旅の大きな楽しみといえば、やはり現地でいただく本場の食文化です。あの時、一緒に街を歩いた学生さんたちと囲んだ円卓で、皆で賑やかに食べた中華料理の味は、格別の美味しさでした。

特に印象深かったのが、湯気を立てながら運ばれてくる本場の飲茶(ヤムチャ)です。透き通った皮に包まれたエビ蒸し餃子のプリプリとした食感や、甘じょっぱい餡が絶妙なチャーシューパオの味わいは、一口食べるたびに旅の疲れを優しく癒してくれました。当時はワゴンが通路を行き交う活気ある店構えが一般的でしたが、近年の現地では、スマートフォンのアプリを使って手軽に注文するスタイルへと変化を遂げている店舗が増えているようです。

実は最近、日本の日比谷にある香港点心専門店『添好運(ティム・ホー・ワン)』へランチに足を運んできました。目の前に並ぶ美しい点心をつまむと、あの熱気溢れる香港の風景がありありと脳裏に蘇り、とても懐かしい気持ちになりました。その時のランチの記録も別の記事に詳しくまとめてありますので、よろしければ併せてご覧くださいね。 →添好運(ティム・ホー・ワン)。香港を思い出す味

 


当時の通貨と、忘れられない記憶

紙幣のデザインが違う?手元に残った「激レア紙幣」の謎

旅の終わりに、自分自身へのお土産のつもりで大切に持ち帰った当時の「おつり」。年月を経て、手元に保管していた硬貨や紙幣を改めてじっくりと見返していた時、ある面白い事実に気がつきました。

「なぜ同じ額面の紙幣なのに、こんなにデザインが違うのだろう」と。それもそのはず、香港では国の中央銀行ではなく、「香港上海銀行(HSBC)」「中国銀行」「スタンダードチャータード銀行」という3つの民間の発券銀行が、それぞれ独自の美しい意匠で紙幣を印刷・発行しているからです。この大変珍しい通貨制度は、現在も変わらずに引き継がれている独自の文化のようです。

今回、私が当時の思い出として手元に残していた20香港ドル札は、偶然にも2種類の発券銀行のものが混ざっていました。それぞれの特徴を紐解いてみると、この小さな紙片に刻まれた歴史の奥深さに、知的好奇心が心地よく刺激されます。

  • 中国銀行(流通量:約20%): 香港の空にそびえ立つ、近代的な自社ビルの美しい建築デザインがスタイリッシュに描かれています。香港の発展を象徴するような、シャープで洗練された佇まいが非常に印象的です。
  • スタンダードチャータード銀行(流通量:わずか約10%): 中国の神話や伝説に登場する古代の「神獣」が大胆にデザインされています。この銀行が発行する紙幣は全体の流通量が約1割程度と非常に少なく、現地でも出会えたら少しラッキーとされる珍しい1枚だったということを、恥ずかしながら20年以上が経過した今になって初めて知りました。

20代の私が何気なくお財布の奥に残しておいた20香港ドル札が、実はそんな遊び心とロマンに満ちたレアな紙幣だったなんて。香港の硬貨は、現在は10セントから10ドルまで全部で7種類が流通しているようですが、あの日、私の財布に残ったのは「2ドル、1ドル、50セント、10セント」の4種類でした。その重みと共に、時を超えて手元にある「神獣」と「ビル」の紙幣を眺めていると、当時の驚きや興奮が鮮やかに甦り、まるで宝探しで正解を見つけたような、なんとも言えない嬉しい気持ちに満たされます。

20年以上前の世界一周クルーズで訪れた、香港の紙幣

 

あの日、天気に恵まれた美しい空の下で、温かい人々に囲まれながら美味しい料理を堪能した香港の1日。手元に残る古い紙幣を優しく撫でながら、当時の眩しい思い出に浸る、とても豊かな心の空想旅行ができました。

 

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※この記事は20年以上前の体験をもとに構成しており、現在の正確な現地の状況については公式サイト等をご確認ください。


今回の訪問地:香港